見出し画像

仕事をほっぽり出して海でバーベキューした夏と雨の日

今年の梅雨は雨が多い。
本当に多いのか、多く感じているだけなのか。わからないけど雨が多い…気がする。そう感じるのは雨の日が嫌いだから。

最近雨の日はすごく身体が重い。単に体重が増えただけかもしれないが、ここは低気圧のせいにしたい。それにしても、どちらかと言えば雨の日は好きだったはずなのに。

思い返してみると、雨はなにかしら僕にとって『都合の良い特別』にしてくれた。
小学校の時は長靴が履ける日、中学校の時は部活のウォーミングアップで走る5kmのランニングがなくなる日、高校の時は自転車で片道45分の登下校を電車通学にできる日だった。

そんな特別は会社員になってからも続いていた。

25歳の時に勤めていた会社は僕と社長2人だけの小さな会社で、訪問営業が主な事業だった。対個人だったので、在宅率が高いほど営業環境は良い。つまり、雨の日ほどコンディションの良いことはなかったにも関わらず、雨の日は休みだった。理由は社長が雨の日を嫌っていたから。身体が重いらしい。

僕にとっては突然の休みは嬉しいサプライズ。当時実家暮らしでお金に困ることはほとんどなかった。だから給料よりも寝ていたい。梅雨の時期なんて丸一週間寝ていられる。こんな特別他にはない。
だから、ずっと雨の日が好きだった。

そんな社長だが、僕と歳がひとつしか違わなかった。26歳。
けれど、10代の頃からアメリカへ移住していたこともあり、発言や思考が僕には考えられないほど、ぶっ飛んでいるように思えた。

社長曰く、アメリカ人は朝であろうと昼であろうと、気分が乗らなければ仕事を終えて、突然バーベキューを開催したりするらしい。本当かな。

そんな環境で育ってきた社長と初めての夏。梅雨が明け、すごく天気の良い日にそれはやってきた。
「営業なんかやってられるか!バーベキューコンロと肉買って、海行くぞ」
背徳感を覚えながらも、仕事をほっぽり出して、ビール片手に海辺で肉を焼く。こんな最高なことはない。

そんな粋な計らいをしてくれる社長が好きだった。いつまでもこの会社で長く勤めたい。そして僕がいつか社長になる日が来るならば、こんな日を年に一度ぐらい取り入れたいと思うほどの憧れになった。

しかし、想いは実ることなく、その年の夏の終わりに会社は倒産した。原因?雨の日を休みにしたから。以上。それ以降、僕は夢のような暮らしを奪った雨が嫌いだ。

どう考えても八つ当たりなんですけどね。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

サポートしていただいたり、有料記事を購入してくださった売り上げは次の新しいこと始めるための活動資金とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!

ありがとうございます〜!今日の運勢は〜…
63
コルク所属のマンガ家。有料マガジン『タヌキブース』を2020年8月に開設。『#おもち日和』の先読み配信や限定コラム・マンガを配信中。▶︎https://yutanuki.com/m/m29a8fb4bf7ec |お仕事のご依頼は▶︎https://corkagency.com
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。