
面倒くさがり対決

会話の大半が寒い・眠い・お腹すいた〜な友達と「どっちが面倒くさがりかエピソード対決をしよう」という話になり、2022年最初の面倒くさがり王を決める熾烈な争いが火蓋を切った。
僕は空気も読まず秒殺KOを狙って「パーカー脱ぐ時もメガネは外さない」と、結構強めのエピソードを繰り出した。たとえ服の中でメガネが歪もうと気にしない。だって、外すのが面倒くさいから。過去に過ちを犯しているのに…。
それは数年前の冬。全身ヒートテックインナー。外出先のショッピングモールで暑くなり、ヒートテックを脱ごうと個室トイレへ駆け込んだ。アウターを脱ぎ、パーカーを脱ごうとした時にワイヤレスイヤフォンを耳に付けたままなことに気がついた。
取るか、取らぬか。その瞬間に押し寄せてきた猛烈な"面倒くさい"により『取らぬ』に判決が下った。腕を抜いた後、耳に当たらぬよう、ウッチャンナンチャン炎のチャレンジャーの電撃イライラ棒かってぐらい慎重にパーカーを上げていく。耳に触れぬよう。耳に触れぬよう。
触れた。その瞬間にチャチャポンと聴こえた。まるでノイズキャンセリングされてるかのように、チャチャポンという音だけが鮮明に聴こえた。パーカーを脱ぎ、音が聞こえた方を見てみると、そこには海底にたたずむサンゴ礁のように光り輝く水没イヤフォンが2つ。
水没したイヤフォンって振ったりせず、ひなたで数日干してると直るらしいよ。そんなどこかで誰かから聞いた情報を思い出す前に、僕は一瞬不乱に便器に手を突っ込み、イヤフォンを救出し、洗っていた。全力の流水で。後日、アップルストアでその話をしてみると、洗ったことで故障したんじゃないかと。僕はあの時選択を間違えたのか、洗濯をしたことで。
ーと、そんな過ちを犯したこともあるにも関わらず、いまだにメガネを外さずにパーカーを脱いでしまう。
話は戻り、見事なパンチをくらわしたかとドヤ顔でいると、友達が一言「何にも思いつかん」って。思考することすら面倒くさいと放棄されて完敗した。
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